メンバー紹介

大阪市総合教育会議決定に対する見解

◆はじめに
 1月29日、大阪市は総合教育会議を開き、大阪府と市独自の学力調査結果を小・中学校の校長の人事評価に反映させる方針を決定しました。2019年度に試行実施し、2020年度に本格実施するとしています。
 大阪市では吉村市長が昨年8月、文科省実施の全国学力・学習状況調査(全国学テ)の結果が2年連続、政令市20市で最低だったことを問題視し、定例の記者会見で「ビリ、ベッタ」との発言を繰り返しました。そして全国学テ結果を人事評価に反映させる意向を表明し、市教委が制度を検討していましたが、全国学テの対象が小学6年生と中学3年生に限られ、対象になっている教科も限られるなど課題があるとして活用は断念しました。

◆どのような制度を導入しようとしているのか

 新たな制度では大阪市の学力経年調査(小学3年生~6年生)と府のチャレンジテスト(中学全学年)の結果を各学校が前年度よりどれだけ向上させるか数値目標を設定し、達成度に応じて校長の人事評価に反映させます。教員については直接反映させず、校長による評価の参考にするとしています。また、校長・教員の評価にしめる学力・体力の向上に関する割合を校長20%、教員35%からそれぞれ40%に引き上げます。
 特色ある学校づくりに活用してきた「校長経営戦略支援予算」の加算配布(1.6億円)を学力向上に関する目標を達成した学校に配分することに改編し、「特に顕著な学力向上が見られる学校」に研究活動費を支給する制度も設けます。
 会議では吉村市長が「大きな前進」と評価し、市特別顧問の大森東北大教授が提案した「大阪市の教育のために顕著な功績があった学校・校長、教職員を対象に」した表彰制度(昇給を含む)の検討を指示しました。
 文科省幹部は「こうしたテストの使われ方は聞いたことがない」と話し、「教員の頑張りが適切に評価され、やる気につながるなら望ましい」とした上で、「学校現場への影響などの検証と、メリット、デメリットについて、市は説明責任を果たすべきだ」(いずれも「朝日」1月30日付)と指摘しています。

 
◆現場からは早速不安の声が

  「朝日」1月30日付は、現場からの不安として、中学校校長と小学生の保護者の声を報じています。
・「家庭の経済力と学力に関係があると言われる中、公立校は生徒を選べない。学校は人間性の育成なども求められている」(中学校校長)
・「校長先生が学力向上に傾くと子どもが楽しく通えなくなるのでは。すぐに結果が出ないのが教育なのに、目先の成績重視になって大丈夫なのか」(小学生の保護者)
  同様の声は今年度、大阪北部地震で延期、さらに台風21号の影響で再延期となったチャレンジテストに対しても出されていました。注目に値する中学校校長の声を紹介しておきます。
・このテストを行う根っこになるのが、「教師の作成した評定は、信用することができない」というもの・・・・教員を愚弄するにもほどがある。大阪の教員をバカにしないでもらいたい。生徒に寄り添い、生徒に親身な指導ができるのは、その学校の先生だけである。学校の先生が誇りを持って仕事ができる環境を作ることも教育行政の仕事である。教師のやる気や熱意を失わせる施策は、大阪の教育を前進させるとは思わない。
 この校長先生が言うように「学校の先生が誇りを持って仕事ができる環境を作る」ことを一貫してサボってきたのが維新府市政に他なりません。

 
◆教育ゆがめる評価制度策定中止を求める取り組みと市高教の今後の取り組み

  今回の評価制度の導入を論議したのは昨年の9月14日の総合教育会議でした。会議の決定を受けて、大阪市教(大阪市学校園教職員組合)が中心となって「学力テスト等の結果による教員評価で、子どもはテスト漬け、教員は大阪市から逃げる 教育ゆがめる評価制度策定中止を求める陳情署名」(団体・個人)に取り組みました。昨年末時点で団体署名は500団体を超え、個人署名は8049筆を市議会に提出しました。
 市高教も分会代表者会議で団体・個人署名の取り組みを呼びかけました。今回の評価制度の導入は小・中学校が対象となります。
  高校はこのような評価制度が導入されるのでしょうか。可能性は十分にあるというのがこの疑問に対する答えになります。
 それは、文科省が来年度から実施するように求めている「高校生のための学びの基礎診断」テスト(以下、「基礎診断」)を使ったものになることが予想されます。
 文科省はすでに民間事業者9社から申請のあったものから25件を「測定ツール」として認定し、12月26日にHP上で公表しました。各高校では2019年度から実施するよう求められていますが、文科省の公表が遅れたために検討する時間もほとんどなく、教職員の検討・協議が広がっていない状況にあります。にもかかわらず、4月からの実施を求めるのはあまりにも拙速と言えます。
 市立の高等学校には、文科省の公表以前からこれら民間事業者からの「売り込み」が始まっています。
 文科省は「基礎診断」実施方針で次のように記しています。
 高等学校教育の質の確保・向上のため、高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクル構築に向けた施策として文科省において一定の要件に即して民間の試験等を認定するスキームを創設し基礎学力の定着度合いについて公的な質保証がなされた多様な測定ツールの開発を促し、高等学校における活用を通じて、指導の工夫・充実、PDCAサイクルの取組を促進することとする。
 さらにリーフレットでは「育成しようとする資質・能力を想定するのにふさわしいツールを選択・活用することが重要」とし、「生徒が・・・・学習の成果や達成感を実施することで自己肯定感・自己有用感を高めたり、学習に向けた動機付けとしても活用したりすることができます」と、あたかも生徒にとってメリットがあるように見せかけています。しかし、自己肯定感や学習への動機付けなどはこのような「テスト」で身につけるものではなく、日常の授業や特別活動など各高校で行われているすべての教育活動を通して生徒が自主的に獲得していくものです。
 「改訂高等学校学習指導要領」で高校生に身につけさせようとしている「国が定める『資質・能力』の定着度合いを測定するツールを作り、その結果を「エビデンス」として様々なものに使おうとしています。小・中学校の子どもたちを苦しめている「全国学テ」をモデルにしていることは明らかです。
 文科省にとって重要なことは、高校で「PDCAサイクル」を構築することです。その中でPDCAの「肝」とされるCheckのための「測定ツール」を文科省ではなく民間事業者に作らせる点は極めて重大な問題です。
 市高教はすべての教職員に「基礎診断」の問題点を明らかにする取組を進めていきます。
 
2019年2月5日
大阪市立高等学校教職員組合 執行委員会

 
 

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